災害が起きて避難所へ向かうとき、最初の数十時間を乗り切るために持ち出すのが「非常持ち出し袋」です。ためこむほど重くなって動けなくなるので、「まず1日を生き延びる最低限」を基準に選ぶのがコツです。この記事では、中身のリストと、年に数回の点検のやり方をまとめます。
非常持ち出し袋と備蓄品の違い
首相官邸の「災害が起きる前にできること」では、備えを2段階に分けています。
- 非常持ち出し袋:避難時にすぐ持って出るもの。リュックに詰めて玄関近くに置きます。
- 備蓄品:ライフラインが止まった自宅で数日過ごすためのもの。飲料水3日分(1人1日3リットルが目安)、非常食3日分などで、大規模災害では1週間分が望ましいとされています。
持ち出し袋は「軽さ最優先」、備蓄は「量」で考えると整理しやすくなります。
非常持ち出し袋の中身リスト
水・食料(最低1日分)
- 飲料水(500mlペットボトル2〜3本)
- そのまま食べられる非常食(栄養補助食品、缶詰、ようかんなど)
情報・明かり
- 携帯ラジオ(手回し充電式が便利)
- 懐中電灯・ヘッドライト
- モバイルバッテリーと充電ケーブル、予備の乾電池
衛生・トイレ
- 携帯トイレ・簡易トイレ(数回分)
- トイレットペーパー、ウェットティッシュ、ポリ袋
- マスク、消毒液、常備薬・お薬手帳のコピー
体を守るもの
- 軍手・厚手の手袋、ホイッスル
- レインコート、防寒用アルミブランケット、使い捨てカイロ、タオル
貴重品・連絡
- 現金(小銭を多めに)、身分証・保険証・通帳のコピー
- 家族の連絡先メモ、集合場所を書いた紙、ハザードマップの写し
その人に必要なもの
- 乳幼児:液体ミルク、紙おむつ、おしりふき
- 高齢者・持病:予備の薬、予備メガネ、入れ歯洗浄剤
- 女性:生理用品、防犯ブザー
詰めるときの手順
- 両手が空くリュックを使い、背負ったまま階段を上り下りできる重さに抑えます。持てないほど詰めると、いざというとき置いていくことになります。
- 重いもの(水など)を背中側・上部に入れると背負ったときに楽です。
- 使う頻度が高いもの(ライト、携帯トイレ、雨具)は取り出しやすい外ポケットへ。
- 玄関やベッドの近くなど、暗闇でも手が届く場所に置きます。寝室にも小さなライトと靴を用意しておくと安全です。
年2回の点検のやり方
中身を入れっぱなしにすると、いざというとき食品が期限切れ・電池が液漏れ、ということが起きます。防災の日(9月1日)と、季節が大きく変わる3月ごろなど、点検する日を決めておきましょう。
- 全部出して並べ、リストと照合します。
- 食品・飲料水・常備薬の使用期限を確認し、近いものは日常で消費して新しいものと入れ替えます(ローリングストック)。
- 乾電池・モバイルバッテリーの残量を確認し、充電または交換します。
- 衣類・下着・靴のサイズが家族の成長に合っているか見直します。
- 最新の連絡先メモに差し替えます。ハザードマップの見方もあわせて確認しておくと安心です。
備蓄側の水の量は備蓄水の目安とローリングストックのやり方で詳しく解説しています。
よくある質問
市販の防災セットと自分で用意するの、どちらがいいですか?
市販セットを土台にして、常備薬・メガネ・乳幼児用品など「自分の家族にしか要らないもの」を足す方法が現実的です。セットの食品や電池にも期限があるので、買ったら点検サイクルに組み込みます。
1人1袋ですか?
基本は1人1袋です。乳幼児や高齢者のぶんは、介助する家族が分担して持ちます。車がある家庭は車載用にもう1セット積んでおくと選択肢が増えます。
どのくらいの量を入れれば十分ですか?
持ち出し袋は「避難所や支援が届くまでの最初の1日」を想定した最低限で構いません。数日分は自宅の備蓄でまかなう、という役割分担が基本です。
出典
- 首相官邸 災害が起きる前にできること https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
- 日本赤十字社 東京都支部 非常時の持ち出し品・備蓄品チェックリスト https://www.jrc.or.jp/chapter/tokyo/about/topics/checklist.html